「た・・高杉・・!!」
たまたま通った川沿いにたまたま高杉が居て.....
「・・幕府の犬じゃねぇか・・。」
私も高杉も驚きを隠せなくて.....


敵なのに・・・どこか喜んでたかもしれない






偶 然





しまった・・今日は仕事がオフだったから・・刀を忘れてきてしまった。
「へぇ・・刀持ってねぇのか・・」
高杉は相変わらず嫌な笑みを浮かべていた。
刀なしで戦うこともできるけど、あっちは刀を持ってるし・・
なによりも、高杉は手ごわい。
「まぁ、そう睨みなさんなって・・・」
高杉はそう言うと地べたに座り込んだ。

どうしよう・・・近藤さんとか・・土方さんとか呼ぶべき・・?
でも呼びに行く間に高杉は逃げちゃう・・・
・・・あれ?
っていうか高杉は何で、こんなとこに座ってるの・・・??
真撰組の一人の目の前で・・・
普通だったら私を切るはず・・・。

「何立ってんだ・・座れよ。」
何を言ってるんだこの人は・・・私たち・・敵同士なのに・・
「・・・私を・・切らないの?」
「・・切ってほしいのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど・・・・」
私は言葉をつまらせた。
「今日は切りたい気分でもねーんだよ。」

ちょっと口をあげて笑った姿は他の人には見えないような美しさがあった。
けれど・・それはどこか怖くて・・怪しげだった。

「何か・・企んでる?」
「いや。何も。」
私は高杉から少し離れて腰を下ろした。
「・・・なんで距離置いてんの?」
「・・・え?気のせいじゃないですか?」
「あっそ。」

目の前に流れてる川の流れは穏やかで・・・
空に浮かぶ満月がまぶしくて・・・まぶしくて・・・
やわらかい風が髪の毛を揺らす

高杉は私にとって倒さなきゃいけない敵だけれど・・・・
今日は「殺そう」なんて気分でもなくて・・・
何故かやる気がなかった


「高杉ってさぁ・・・何で戦ってるの・・・?」
「・・・・戦いてぇからじゃねぇか?」
「・・いや、私に聞かないでよ。」
「そういうお前は・・女のくせに、何で戦ってんだ?」
「お世話になった人のために戦ってる・・」
「・・じゃぁ、そいつが殺されたらどうするよ?」
高杉はニヤリと笑った。
「・・・・殺した人をこの手で倒すだけよ。」
「・・へぇ、嫌いじゃねぇな。その目。」
また高杉はニヤリと笑って立ち上がった。

「今度会う時は本気で戦ってやるよ。」
そう言って高杉は去ってしまった。

・・何だったんだろう・・・。


「オイ、。」
「へ?!」
後ろを振り向くと土方さんが立っていた。
「何やってんだこんなところで。」
「土方さんこそ・・こんなところで・・何してんですか?」
「お前がなかなか帰ってこねぇから来てやってんじゃねーか。」
「・・・そうですか・・。」
私は立ち上がった。
さっき高杉が歩いて行った方を見たけれど、もう高杉の姿は全く見えなかった。

「・・誰かといたのか?」
「へ!?」
ドキっとした・・高杉と居ましたなんて言ったらどうなるんだろう・・
「いえ、一人でぼーっとしてただけです。」
もう1度、高杉の姿が見えないか確認した。
「何さっきから同じ方見てるんだよ・・・」
「え?いえ・・別に・・・帰りましょうか。」
「あぁ。」


もうこんな風に会うことはないけれど・・・


次会うときは戦いの中だね



そう心の中でつぶやいて、瞳を閉じた。
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