なんか気になるアイツ。

なんか気になる


喋ったことないけどさ。







ずっと想ってたこと  








「まーた切原のこと見てるしー」


黒板に大きく書かれた自習の文字。先生はいない。みんなうるさい。

眠くてうとうとしてただけなのに、に言われて気付けばあたしの視線の先にあったのは。


「・・・ちが・・っ!」


反射的に、拒否してみたけど。

はいつものこと、って顔して、あたしが手にしてたポッキーをくわえた。

真っ赤にしてそんなこと言ったって説得力ない は軽くそう言ってまた前を向いた。





同じクラスの切原赤也。

喋ったことないし、いつも寝てるし。・・・・・・・・今も寝てるし。

でも、気になるんだ。


テニスが好きで、HRが始まったらコートへ直行。

時々サボったりもする、なんとなく掴めない、切原赤也。



・・・・・・・・・・・・最初はなんか、ちょっと怖いと思ってた。



そんなアイツのこと、気になり始めたのはつい最近のことで。


偶然、テニス部の練習を見かけたとき。

あいつは超活き活きしてて、でも真剣で。

あ、かっこいい、って素直に思った。

これが恋じゃなくても、でもやっぱり


かっこいいとおもった。


怖いなんて気持ちはもうなかった。

ただひたすら、かっこいいと思った。



それから毎日、気付けばあたしは切原を見てる。










部活が始まれば、あたしの暇な時間が始まる

なにも部活に入ってないあたしにとって、放課後なんてかなりつまんない時間




切原を見に行こう




軽い気持ちで、あたしの足はコートへ動いた

別にかっこいいからであって、これは恋じゃないと思った

ときめいたりはしなかった

ただ単に女の子が俳優とかアイドルを見て愉しむのと同じで


恋じゃないハズなんだ。









黄色いボールの飛び交うテニスコートに、あいつはいた。


やっぱかっこいい。


上手いとか下手とか、初心者のあたしには全然わかんないし、

どんなにこの学校のテニス部が強いって言っても、自分でテニスをしたことがないから、強いもなにもよくわかんない。

だから切原が上手いのか、なんて全然わかんないんだけど


かっこいいなって、思った。









・・・・・・・休憩時間かな。

部員たちがあちこちに散らばって、水道場に集まったり、タオルを手にしたり。

あたしはそろそろ帰ろうと思い、荷物をとりに教室へ戻ろうと歩き出した。


「あれー、じゃん。何してんのー?」


びっくりした。汗を流してタオルを片手に持った切原の姿。

すごい、かっこいい、すごい、かっこいい、それらの言葉たちはあたしのなかでぐるぐる回った。


「いや、今から帰るとこ。うん。練習がんばれ。じゃね。」

「うわ、なんだよそれだけかよ」


明るく笑いながら、切原が言う。

心臓がバクバク言ってる。まさか、なんだこの気持ちは。


「それだけかよって・・・何か言って欲しい事でもあるのかよ。」


え。切原はそう言って、ポリポリと頭をかいて、きょとんとして言った。



「いや、告白でもされんのかと思った。」



・・・・・・・・・・・・・・・



「はぁぁ!?」



声が裏返った。

同時に、バッカじゃないの!?そう言った。


「おい ちょっと傷つくだろー」

「え?ああ、ごめん。」


は?ってか待ってよ告白?なんでよ。


「だってお前いっつも俺の事みてるじゃん」


バレてるし


「この前なんて女子にからかわれて真っ赤になってたじゃん」


見てたのかよ


「だから、は俺のこと好きなんだと思ってた〜」


いや待ってよ、淡々と言ってるけどさ君ね。

ってかなに、なんでこんな心臓・・・・・・・



、って。

名前覚えてたんだ。



「いやちょっと待ってよ、切原わかってるの?」

「なにがー?」

「うちら、今初めて会話したんだよ」

「え?・・・・・・・・ああ!」


切原は少し笑って、


「言われてみれば、そうですね。」


笑いながらそう言う切原を見てるのがすごく新鮮で、気持ち良くて。

さっきからドクドクバクバクいってる自分の心臓が落ち着いてくれるのを待ってたら

口が先に動いてた




「かっこいい って、ずっと思ってた。」




おもってた言葉が溢れでた瞬間、うあ、自分何言ってんだとか思って

ごめん変なこと言ったね、そう言おうとしたら切原が






「・・・可愛いって、ずっと思ってたよ。」






そんな笑顔を向けないで。

まぶしくてまぶしくて




恋だとは思わなかったのに


近づいてしまったから あたしは

気づいてしまったから あたしは


ああ 恋に堕ちる5秒前。





























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