波が行き来する砂浜

冷たい風が頬を撫でる

伝う涙を気付かれないように



あなたは、

わたしは、


俺は、

お前は、






ごめんね ありがとう だいすき さよなら






「あたしは 好き」

「俺も 好き」

「だけど」

「だから」



お互いがお互い背を向けて言葉を発しあいまた息をのむ。


「なぜ」

「だって」

「俺嫌だ」

「あたしも」

「だから」

「でも」


好きだよ



二つの声が重なった。



そしてまた言葉は消え、波の音だけが静かに砂浜をのみこむように。




こうなったのは、誰の所為ですか?

こうなったのは、何の所為ですか?


ううん誰のせいでもない。



だって罪悪感しか残らない

こうなるのは分かってた



大好きな彼

あたしを愛してくれる彼



お互いがお互いを好きなのに、恋っていうのは上手くいかないもので

背中を合わせた砂浜のふたり


赤也、お願いそんなこと聞かないで



「だって」



言葉がつまる

涙が止まらない


声が震える




こんな風に背中を向け合って座ってると、あたしの体温が伝わってしまいそう




・・・も・・・・赤也のこと・・・が」




ごめんなさい 馬鹿みたいだよね

そんなことでって思うよね



でもね



が赤也の事好きなの、付き合う前から知ってて・・・」



冷たい風が強く吹いた

海が荒々しく波をたてる



応援してねって言われたんだ

でも、に隠れて赤也と付き合うようになった


隠れて。


相談に乗るたび胸が痛んだ


大好きな親友を こんなに長い間騙してきたんだ



「これ以上隠していくなんて あたしにはできない・・・」

「・・・・納得できね」



ごめん、呟くように謝る。



「 本人に正直に話せば」

「ダメだよ!そんなの・・・・・ダメ・・。」

「でも  」

「だって・・・・・・・・」



だってね



「赤也と同じくらい のことも好きだから」



涙が止まらない



「・・・・・分かって くれるよね」



あたしの愛を全部受け止めてきた赤也なら



あたしが赤也の事も

の事も



どれだけ大事に思ってるのか




「好きだよ、赤也」

「  うん、俺も」





あなたは、

わたしは、



俺は、

お前は、




あの子は、





全ての想いが交差する。


波が荒く揺れるたび


同時に僕らの心も揺れる






ふたり 最後の手を繋いで海を去る



いつもと同じ帰り道



最後の手を振った






ごめんね ありがとう だいすき さよなら























でも 涙は 枯れなかった




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