「アメリカ行くって、マジ・・・?」


よく晴れた日の屋上。

やっぱりアイツは此処に居た。

走ってきたから、ちょっと息が乱れてるけど


「ねぇっ・・・答えてよ・・・」



あなたは今どこですか









  U n d e r  t h e  b l u e  s k y . . . .









「うるせぇ・・・落ち着けや」


あたしが真剣な顔して聞いてんのに。

仁は顔色ひとつ変えないで、タバコをくわえる。



「なんでこんな大事なこと、黙ってたの・・?」



悲しさ・・・違う、これは悔しさだ。

でも、何故か怒りとしてあらわすことしか出来なかった。



「俺の決めた事だ」



そらそうだけど。

だからこそあたしは悔しいんだよ。わかってるくせに。

あんたが決めた事だから悔しいんだ。


あんたはあたしの味方じゃんよ。



「本当にいっちゃうんだ」



仁は何も言わずに、ただ白い煙を吐き出した。



「深刻に考えすぎだ。」

「・・・なんでいっちゃうの・・・」



一瞬、仁は横目であたしを見て、そしてまた空を見た。



「ここはつまらねぇ」

「あたしがいるじゃん・・・」



ちがう



「いつになくしおらしげじゃねぇの」

「いかないでよ」



ちがう・・



「なんだよそれ」


「いかないでって・・・!」



ち が う


こんなんじゃ仁に嫌われちゃう

仁はこんなの嫌いなのに

反対したくないのに




「・・・らしくねぇ」



わかってるのに、これしか言えない



「いかないで・・・」



そのまま仁は屋上を出た。




あたしは



あわてて追いかけた




「仁っ!行かないで!!」




階段をおりかけてた仁は、ぎょっとして振り向いた。



「タバコきれた。買いに行く。」

「あ・・」

「・・・アメリカ行きは・・・まだ先の話だ。まだ勝手に居なくなったりしねぇよ」


そう、だよね。



「ねぇ、ついてっていい?」



亜久津はあたしを見た。


「は・・!?」

「タバコ・・・買いに行くいくんでしょ?」

「あ、ああ。」



ついていきたいよ、アメリカまで。本音だよ。

でも無理だから。それくらい分かってるよ。

夢見るオコサマとは違うから。

現実くらいわかってる

でも


でも


今ここで 仁にすがりつくことができれば

どれだけ幸せなんかな

いくら仁に嫌われても

満足いくまですがりつけば


悔いは残らないんじゃないかな







学校の外の自販機で仁がタバコを買ったあと、そのまま仁の家に行った。

また学校に戻ったってすることないから。




「また部屋汚くなってるしー」

「うるせぇ」

「っつーか片付けようよ」


仁は無視してその辺の雑誌を拾って読み始めてた。

あたしはベットに腰掛けて部屋の中を観察してた。



なんか、物が減ってる気がした。



奥に、壇ボールが4個重ねられてた。



「荷物はあれだけなの?」

「ああ」

「少ないね」

「そうか?」




現実を突きつけられた気分がした。



「・・・アメリカ行きは・・・まだ先の話だ。まだ勝手に居なくなったりしねぇよ」



もう準備は整ってる。


仁がこの国を去るのは


遠い未来の話じゃ、ない。






「・・・今日は最後のデートとか言わないでよね。」


ただ、冗談のつもりで つぶやいただけなのに。


「・・・・・・。」

「何、その反応」


やめて


「まだ先の話なんでしょ・・?」



仁が、いつになく申し訳なさそうにあたしを見た。



「出発日は明後日だ。」




心が、揺らぐ


ぐらぐらする




「悪ィ。」



何、誰に謝ってんの


やだ


やっぱやだ




いかないで








涙があふれて







「・・・・っ・・いって、らっしゃい・・・」







とまらない







仁はそっと あたしを抱きしめた。





「・・・・すぐ戻る。」




あたしを抱きしめる


仁の顔が見えない。





「待ってろ」




止まらない


止まらない


止まらない



な み だ





「・・じん・・・仁!」



仁の抱きしめる腕をほどいて





「・・・・・大好きですっ!」





仁は、ちょっと



嬉しそうだった











また もう一度 逢える日が来る






空に響く飛行機の音がうるさいほど耳を通った






「・・・・・・・・・・・いってらっしゃい」








待ってます





















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