「キーヨスミ!プレゼント、何が欲しー?」

ちゃんが欲しいv」






  彼の誕生日






「助けて南ちゃん!あたし、清純に食べられちゃう!」

「そういうことはあんまり大きい声で言わないで下さい。」


今日は、私の愛する彼氏・千石清純の誕生日。

1週間前から毎日毎日誕生日プレゼントは何が欲しいって聞いてきたんだけど

毎回毎回「何でもいいよ」って言う清純。

結局当日になっても、彼氏の誕生日プレゼントが決まってない。

で、さっき、始めてリクエストがきたと思ったらこれだ。


「どどどど、どうしよう!南ちゃんあたしどうしたらいい!?」

「いや、それ明らかに冗談でしょ。」

「あ、そか。」


さすが。南ちゃんは落ち着いてるなー。

ま、清純はあたしを大事にしてくれてるもんねっ!

って!待ってよ!そりゃあ、清純はあたしを食べないでしょうけど!

でもそれじゃ、誕生日プレゼントどうしよう!!



「ってか適当にカードとかじゃ駄目なの?悩んでるよりとことん行動に移しちゃえよ。」

「だーめーなーの!適当じゃ駄目なんだよー。なんかピンときたものじゃなきゃ・・・」

「はぁ・・・(ピンときたもの、ね)」

「手作りケーキ?うーんでもあたし家庭科の成績1だったし・・・うーん・・・」

「(つきあってられん・・)」




気付けば南ちゃんはどっか行ってた・・・けど、清純の誕生日は今日。

今はとことん考えなきゃ、マジでヤバイ。

彼氏の誕生日なのに、プレゼントもあげられないなんて、ヤバすぎる!

あーー・・・どうしよう!








ちゃんっ!かーえろ☆」

「うわっ!清純!」

「なにー、難しい顔して。あー、まだ誕生日プレゼントのこと?」

「・・・・ごめんね、まだ準備できてなくて・・・・」


あたしは言いながら帰る準備をした。

気が付けばみんな帰りはじめていて、HRはもう終った様子。


「もう、俺、ちゃんがいればあとなんでもいーんだけどなぁ」

「でもあたしが嫌なのー!プレゼントは絶対渡すからね!」

「ハイハイ〜」



清純は軽々しくあたしの鞄を持ち、教室を出ようとする。

あたしはため息を着いて、どうしよう、と呟いた。


「おーい。置いてくよー」

「ん、行く行くー」







*************************







「ねー、プレゼントなにがいーの?」


あたしは今日この言葉を何回発したことだろう。

でも清純返ってくる言葉はいつも同じで進歩無し。

それでもあたしはめげずに何度も何度も問う



「じゃー、今日はこのままデートしよ。それで誕生日プレゼント!OK?」

「えぇ・・・・そんなのってありえない!」

「俺が望んだことなんだったらいーでしょ?」

「まぁ・・・・デートはあたしもしたいけど・・・」


でもそれが誕生日ってなんかアレじゃん、そう言おうとしたが、

清純が隙を与えずあたしの手を取り


「じゃっ、買い物でもいこっか☆」


あたしはちょっと納得いかないって表情で頷いた。







11月下旬ときたら、やっぱり空日が落ちるのも早い。

あたしたちは少し薄暗くなった空の下、手を繋いで街を歩いていた。

清純との会話は絶えることなく続いていた。


「うわ、もうこんなに暗い!」

「ねー。そろそろ帰る?」

「え、それはイヤー!」


あたしは慌てて否定した。そして、まだプレゼント買ってないから、と加えた。

清純は、うん、俺もまだ帰るのはイヤ。と笑って返した。


「だってもっとちゃんと一緒に居たいもん。」


清純はそう言って、またあたしに向かって微笑んだ。

あたしは照れ隠しに笑い返したけど、心底嬉しいって思った。


ちょっと恥ずかしくて、つい清純とは逆の方を見た。

立ち止まってしまった。

あたしがよくいく雑貨屋さんがあった。

ショーウィンドウに釘付けになった。



見 つ け た



「・・・・・・・清純!」

「ん?」

「・・・清純、ごめん、ちょっと此処で待ってて!」



見つけた

見つけた

そうだ、これだ。


あたしは、清純を置いて、店の中に駆けていった。


店に入ったら、”ソレ”は可愛くラッピングされた状態で売られていた。

あたしは迷わず”ソレ”を手にとって、レジへ行った。


「お買い上げありがとうございました。」


店員さんの声を背に、あたしは自動ドアの向こうに居る清純の許へ。

早いじゃん、という清純。


「見つけたよ!誕生日プレゼント!」



あたしは、”ソレ”を清純の前に突き出した。



「ごめんね、なんか遅くなっちゃって・・・」



清純は嬉しそうに、開けていい?と聞く。

あたしが頷くと清純は丁寧にラッピングを剥がし、ソレを手にする。





「・・・・指輪・・・」






清純は、指輪を自分の指にはめようとしたが、手を止めた。



「ね、ちゃん。これ、そこの店で買ったんだよね」

「え?うん・・?」


清純は、ここで待ってて、と言って、あたしが指輪を買った店へ。

そして、すぐに戻ってきた。


「・・・・ちゃんの分。」


清純の手には、あたしが買ったのと同じ指輪。

にこっと笑って、はめてあげる、と言い、あたしの手をとる清純。


「・・・・・・・・・照れる。」

「・・・・・よし、と。次、俺にもはめてよ。」



うん、とあたしは清純の指輪を、清純の指へ。



「・・・これじゃ、結局清純の誕生日にはならないね。あたしももらっちゃったし・・」

「ううん!全然!」



清純は嬉しそうに笑う。


そして、あたしはやっと言えるその一言を。








「清純、15歳おめでとう。」









左手の薬指でキラキラ光る、綺麗な指輪。



きっとずっと忘れない



11月25日 彼の誕生日。



あたし達のなかの 小さな儀式。























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