星が光るように、花が咲くように


明日も君を想っていられるなら 私は、








惚れた弱みというかなんというか。









「桃の種からは、桃の花しか咲かない」

「あ?」

「時計は右回りにしか動かない」

「何だ」

「私が何言いたいかわかんない?」

「わかんねえ」

「ならいいや」




さーてと、お茶でも淹れようか、そう言って私は立ち上がる。




「高杉ー、お茶の葉と湯のみどこ?」

「・・あー・・わかんね。適当に探して」




一人暮らしの高杉の部屋に、訪れたのは今日で何回目だろう。

私は通いつめた彼の家の、湯のみの場所もお茶の葉の場所も覚えられないような馬鹿じゃない。

でも来るたびにお茶の葉の場所も湯のみの場所も変わってるんだよね。

来るたびに違う女ものの香水の匂いがする高杉に、その理由を訊く気には全然ならないけどね。





「昨日・・・一緒にいた女の人誰?」

「いつ」

「だから昨日。夜。」

「見てたのか」

「お妙さんが食事に連れてってくれて。」

「もう会わねえから気にすんな」

「何それ」

「悪い」

「またそうやって・・・」






謝れば済むって思ってるんだから。






「ごめんって」

「高杉なんて 嫌い」

「・・・嘘つけ。」

「嘘じゃない。」

「・・・」

「別れる。」





高杉とのこの会話、いったい何度目だろう。なんだか会う度言ってる気がする。

でも私はそのたびに 彼にこう言われて折れてしまう






だけだから」

「・・・・・・・」






この男は、きっと他の女にもそう言ってるんだろうな。

そう思うとだんだん切なくて寂しくて悲しくて






「高杉 が 」

「あ?」

「高杉がそういうたびに不安になる」







私は本当に高杉だけなのに

いつもふらふらふらふら色んな女のところに行って、

ふらふらふらふら戦いに出て


そんな高杉が居なくなったら  私は








「・・・もう他の女とは会わねえ」

「うそつき」

「嘘じゃねえよ」





高杉が私の腕をそっと引き寄せて、頬に口付ける。





に愛想つかされたら俺生きてけねえし」

「・・・・ぷ」

「笑うなよそこで」

「だって高杉が初めて弱音を吐いたから」






「でもやだ もう別れる」

「なんでだよ」

「私だけを愛してくれないのなら、もう一緒にいられない」

「お前だけを愛してないなんて誰が決めた?」

「あたしが」

「バカかてめえは。」

「は・・・」

「さっきも言っただろ、お前がいなきゃ俺は生きてけねえんだ」





この最低男に

どんなに甘い愛をささやかれてももう絶対別れてやるって、何度心に誓ったことか










なのに












「一緒に住もう













いきなり何を言い出すのかと思えばこの男は。












「俺は一人だから、他の女にもこんなセリフいわねえぞ。帰る家はひとつでいい。」

「・・・・何言ってんの・・・・。」

「お前も俺がいないと生きてけねえみたいだしな」

「いみわかんない・・・理解に苦しむよ。」

「簡単だろ。つまりお前はこれからここに住め」




この男の俺様な人格は一生治らないんだろうな






「で、俺の側に居ろ。俺がお前しか愛してない事をしっかり分からせてやるから」







こんな強引なところに惚れたんだ、こんな浮気男に惚れたんだ。







もうこれからは、別れることで悩むんじゃなくて  向き合うことで悩んでいこう








だって桃の花を咲かせるための桃の種からは、桃の花以外の花が咲くことはない。


は彼を愛するために生まれてきたのだから、彼以外を愛する事なんて出来ないの。


だから、私は彼がいないと生きてけない。きっと彼もそれを知ってる。










どんなに辛くてもどんなに悲しくても












やっぱりこの男が好きだから、私は明日たくさんの荷物を持ってこの家に来るんだ。














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