「やーーっばい 雨!どうしようどうしよう」

「うるさいな」









  雨雨降れ降れもっと降れ。










「傘忘れちゃいました。」

「そう」

「そう・・・じゃなくて!」



まったく雲雀さんは冷酷で困ります

そう言っても彼は無視して、黒い傘を音を立ててさして



「じゃ、がんばって帰って。」



うん、やっぱり冷たい人だ。



「わーーん恐ろしい!雲雀さんって恐ろしいよー!」

「黙って。殺すよ?」



あなたが言うと洒落になりません・・・・でも


とりあえず立ち止まって振り向いてくれただけでも 嬉しいんです。



「雨止むまでここに居てくだ」

「やだ」

「即答ですか」



もう行くから、そう言ってまた黒い傘に顔隠して行ってしまった。



「・・・・・・・・・いじわるー」



家までは徒歩20分。

バスもないし電車も使えない。

濡れて帰ろうかとも思ったけど、やっぱりこのまま止むのを待ってることにした。



ザァァァァァァ・・・・・・・・・



「・・・飽きない」


雨って見てて飽きないな。強くなったり弱くなったり。

ちょっと薄暗いのが怖いけど、私は雨が嫌いじゃない。



晴れたあとの綺麗な青が嬉しいから。



「雲雀さんもう電車のったかなー」



あれ?ていうかあの人電車通だっけ

徒歩通だった気もするけど・・・ん?バスかな?


思えばあたし、何も知らないんだな


好きな人のこと。




ザァァァァ・・・・・・・




「うわ、雨強くなってきた最悪。」



なんか切なくなってきたな。


雲雀さんいないし。

雨は強いし。

傘は無いし。

・・・雲雀さんいないし。



「・・・・・・・・やっぱ濡れて帰ろ。」


そう思って立ち上がって、鞄を手に取る。

そしてふと前を向けば


黒い 影。


なにかにぶつかる、雨音。



「・・・・・・・奇跡?」


黒くて大きなあなたの傘





「なんで雲雀さんがここにいるの」





すると彼はいつもの冷たい調子で




「雨だから。」





理由になってません、そう言いたかったけど、

口答えしたらまた帰っちゃいそうだったから、照れくさく笑った。




「私、雨嫌いじゃないです」

「ふーん」

「晴れたあとの空が綺麗だしそれに





雲雀さんがめずらしくやさしいから。」






肩を並べて傘に入る。


二人を包む黒い傘から見える雨が  なんだか凄く綺麗に見えた。






小さな声で呟いた私の言葉は 雨音に紛れて君に届かなかったかもしれないけど







『雲雀さん、すきです』






それでもいいんだ、今度は晴れた日にもう一度言うから。
















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