「ひ ばり くん・・・」

泣きそうなのを必死に堪えながらあなたの名前を小さく呟く

ああ あなたは冷たいひと

だけど私の好きなひと








 たまには後ろを振り向いて









「待って ひばりくん 歩くの早い よ」

「・・・」

「ひばりくん 」


あなたは何も言わず そのままのペースで歩くのをやめない。

どこで鍛えてるのかは彼女の私でさえ知らないけれど 雲雀くんは歩くのが早い。

運動神経は人並みじゃなくて、美術部で運動音痴な私とは正反対

その上、足の長さまで違うし 追いつけるわけがないんだ     色んな 意味で。



それなのに私は馬鹿みたいに必死で 彼に近づこうとする


無理だと分かっていながらも。


もちろんそれでも 彼との距離は長くて長くて。 そして彼が止まってくれるわけでもなく。


なんで止まってくれないのかは分からないけど   私 彼女なのにね。




ああ 本当に涙が出る。

こんな長い距離をもった私と雲雀くんのこの下校が始まってから 多分もうすぐ1ヶ月。

雲雀くんが好きだから追いつきたいのに 思うようにはいかなくて涙が出る


でも涙を流すために立ち止まったりしたら きっと雲雀くんに幻滅されて嫌われちゃうから


だからわたしは彼の背中を追う。



「 ま・・・って  雲雀くんっ」

「・・・君さ それしか言えないの?」



急に雲雀くんが立ち止まって でもそれでもこっちを見てはくれなかった。

私は彼の言葉にサーッと血の気が引いた  雲雀くんの顔が見えないのがますます怖かった。


どう しよう   なんか怒ってる



「ご ごめんなさい」

「謝らなくてもいいけど」

「・・・え、えっと・・・」

「・・行くよ。」

「ひ 雲雀くん」

「だからさあ」





その雲雀くんって言うのやめてくれないかな





「え」





あなたは小さくため息をついて やっと後ろを振り向いてくれた

だけど初めて振り向いてくれたという感動にひたる暇なんてなかった。


あなたとわたしの距離が縮まって、あなたは私の手をとり その手にきゅっと小さく力をこめた



あなたの顔がすこし紅かったのは気のせいだろうか


いや きっとその何倍も 私の顔の方が紅かったんだろうけど



「雲雀くん・・・」

「・・じゃ、ないだろ。」


「・・・・・」



「きょうや」

「・・・うん。」




「恭弥  の手、つめたい」

「うるさい 繋ぐのやめるよ」




照れ隠しにそんなことをいう あなたのことが少し分かってきた




















<2005.6.30>

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