寿司、
ゲーム、
野球


さらりとあなたの口が 好き=@というもの
全部を私も好きになって

あなたがそのラブソングが好きだと言えば

その声でその口で

口ずさんでほしい愛の歌のそのフレーズ。

野球バカのあなたは
どんな声で、どんな顔して愛を語るの?

恋する女はどうしても

好きな人に好きだと言われてみたいから。



 純恋歌



「まだ残ってたの?」

「あ、お疲れさま」


マネージャーの仕事を終え、ちょうど帰ろうと部室を出たところで山本に会った。

もう真っ暗じゃん、山本が言った。


「マネージャー1人だからそりゃ大変だよな。いつもごめんな。」

「余裕だよ。山本は何してたの?」

「俺はちょっと監督んとこ。」


あの人話長いんだよな、そう言いながら山本は笑った。


どきどき。


あたしは上手く喋れてるかな?

照れ隠しに、いつも右斜め下をみてしまう癖をあなたが気づいてませんように。


「さて、もう暗いし、一緒に帰る?」


きゅん。


「うん」


真っ赤な顔してたった一言だけ答えた。
暗くてよかった。

「何照れてんだよ」

笑ってそう言う山本の顔を、あたしは恥ずかしくて、見れなかった。
一言だけ

「照れてない」

って言って、また右斜め下を見ながら真っ赤な顔して山本をこずいた。



夜道を並んで歩きながら
2人で他愛もない話をした。

寒いね、そうだね
疲れたな、今日練習厳しかったもんね
今日監督機嫌わるかったな、山本が赤点とったからでしょ
今度数学教えてよ、別にいいけど


部活の話や
友達の話や
先生の話をしながら帰っていたら
いつの間にか別れ道まできてしまった。

けど山本が

星が綺麗だから

なんて柄にもなくかっこいいこと言って
わざわざあたしの家まで遠回りしてくれた。

きゅん。

帰りがどんなに遅くなっても
あたしたった1人でマネージャーの仕事するのも
山本がいるから全然怖くない。


さ、好きな奴いないの?」

「…え」

「なんかいかにもいそうな反応?」


どうだろうね、
笑いながら言ってみたけど、内心穏やかじゃない。


「どんな奴?」

「いるの前提の質問じゃん」

「だっているんでしょ?」

「…」


山本だよ、なんて。


「かっこよくて、笑顔がかわいい。」

言えるはずない。

「特定できねーな!」

「しなくていいよ。」


右斜め下見ながら笑って言った。


「山本は?」

「俺?」

「…いるの?」


勇気を出して言った言葉に

「いるよ、大好きな奴。」

あっさり返ってきた返事に呆然とした。


「そうなんだあ」


それしか言えなかった。
正直泣きそうになった。

山本には好きな人がいないって
あたしなんで勝手に決めつけてたんだろう。

野球だけに夢中だって思ってて。

こんなことなら聞かなきゃよかった。




「…あ、ここまででいいよ。」

「いや、家の前まで。」

「いいって」

これ以上いっしょに居たくなかった。
山本が遠くなって、寂しくなった。

だけど山本は

「送る。」

って言って譲らなかった。

「疲れてるでしょ?」

そう言ったけど山本は

「余裕。」

って言って。

山本はいつものように、にかっと笑ってまた夜道を進んでいった。


…優しくするのは 好きな人だけにして。

ほんの少しだけ涙が出たけど、気づかれないように拭った。
先に前を進む山本をみながら、あたしは足が動かなかった。


2、3歩前を歩いていた山本が、立ち止まり振り返った。


「お前は送って欲しくないかもしれねーけど、」


顔を見上げたら、切なそうな山本の顔があった。


「俺が、送りたいんだよ。」


星がきらきらかがやいていた。
眩しかった。


山本がまた2、3歩あたしの方に歩み寄り、


「意味わかる?」


「…全然わかんない…」


突然の山本の言葉に、頭がぱんくしそうだ。


「…おまえ、野球すき?」

「え、」

そりゃ好きだけど、というと


「俺も!」

また山本は、大きな口をあけて笑った。


少しだけときめいてしまった。
(なんか恥ずかしい。)

「もう、ぜんぜん意味わかんないって」


そういうと、山本はあたしの方を向いて、


「俺がすきなのは、」


一歩歩み寄って。



「野球と、」


二歩、

「ゲームと、寿司と、」




それから




「お前。」





三歩。





右斜め下を見る余裕なんてなかった。
冗談でしょ?なんていってまっすぐに山本の顔をみた。

「…本気?」


「まあ。一応そういうこと」


照れ笑いする山本の顔を
初めてみて。
なんども夢見てきた山本の言葉。





あたしも





「あたしも山本が大好きだから」






やっと言えた言葉だけど

ほんとは言葉にできないくらい

ほんとにほんとに大好きなんだって


もどかしくなったから思い切り抱きしめた。







ようやく繋がった2人の愛が
いつまでも切れませんように。


これから2人に 楽しいことがたくさんありますように。


大好きな人の腕の中で

夜空の星に 祈った。
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