ずっときみのことみてたんだ


ねぇ そんなとおくにいかないで







本気で君のこと  









「跡部。」


部活が終った後のレギュラー用部室。

残っていたのは俺と跡部だけ。


「なんだ。」


俺は部室で寝てたから、まだここにいたんだけど

多分跡部は


ちゃんといたの?」


一度俺を見て、視線をまたロッカーに戻し

そうだ、さらっとそう言う跡部。そっか、そう一言いう俺。


ちゃんのこと」


本気なの?俺がそういうと跡部はなにも返事をしない。


いつものことだ。




ちゃんと跡部がすごく仲いいことくらい、テニス部員ならみんな知ってる。

でも付き合ってはいない。


だけど二人は 秒読み。


・・・だと俺は思う。





「・・・帰る。ばいばい。」


教科書など入っていない軽い鞄とラケットをとって、俺はドアノブに手をだした



ガチャ




俺がドアノブに振れる前に、ドアは開いた。



「わわ!びっ・・・・くりしたぁ!」

「あ ごめん・・・・・・・・って。」


ちゃん。



「あ!ジロー先輩、こんにちわ!」


にこっと笑って、俺の横を過ぎて行く愛しい人。

そして彼女の行く先は


「跡部先輩、これ先輩のですよね?テニスコートに落ちてましたよ。」


言いながら、跡部に寄ってタオルを手渡す。

跡部は、サンキュ、と一言言ってタオルを受け取り、


「・・・・。」

「・・・・・なに、跡部。」


跡部はあからさまに俺を見てた。


俺と跡部の視線が合い、その目はいつもと違っててちょっと びっくり した。

でもそらさないようにした。


なんでか、そらしたら負けのような気がしたから。


睨みあう俺達を交互に見て、不思議そうな顔をしてるちゃんが、俺と跡部の視線の間にいた。

どうしたんですか、ちゃんが言う。


俺はそれには答えず

その代わり跡部に言った。

にらみ合ったまま。


「・・・なに?」


跡部が視線をはずした。


「・・・・・・・・なんでもねぇ。」


そして、跡部は上着と鞄をとり、言った。


。もう暗いから送る。さっさと帰るぞ。」

「本当ですか?ありがとうございます。」



・・・・・・・・え



「いみわかんないし。」



そう呟く俺を、2人は見た。

俺は跡部を睨んでた。


跡部が 悪いわけじゃない はず なの に。




「なんで跡部がちゃんと一緒に帰るの?」




俺本当マジで馬鹿かもしれない。

ただの嫉妬じゃん。

っていうか、うわなにこれ






自己嫌悪?







ちゃんは困ったように、あの、えっと、をくりかえす。

跡部は俺の睨みを睨みで返し、その場の雰囲気をますます黒くした。

俺はどうしようもなく、自己嫌悪を感じながらも 跡部を睨んでいた。



「ジローにとやかく言われる筋合いはねぇ。」



そりゃそうだよ。わかってる。



「暗くなったから送る、どこか間違いでもあるのか?」



ないよ。間違いなんてない。



「そもそも、関係ねぇだろ。」



それは ちがう



「関係なく ない」





言いながら、俺はものすごくくやしかった。


俺はどうしても 跡部に勝つことができないことがわかってたから。

こんなの俺らしくないけど でも




さっきから不安そうに跡部ばかりみてるちゃん




俺のことなんて 全然見てくれてないもん






「・・・・・・・・・・・・・も、いいよ」




俺が邪魔する必要はない

好きな人に 嫌な思いさせたくない



でもね。


跡部を視界からはずし、ちゃんと向き合った。



「俺、あきらめないよ。」



でも、



「幸せになってよね。」




矛盾したその言葉を吐いたとき、ちゃんはやっぱり理解できてないって顔で

跡部は凛々しく俺の前に立ち、


なんかよくわかんないけど


とにかく怒ってなかった。笑ってもないけど、喜んでもなかったけど。

だけど、なんでか、真剣だった。






いつも跡部に聞いていた、「本気なの?」って質問


今思えば、跡部がその返事に本気なんて言葉をそんな軽々しく言えるような男だったら おれはこのとき絶対引いてなかったと思う。







ちゃん、だいすきだよ」

「え・・・あたしも、ジロー先輩だいすきですよ!」



にっこり微笑んで言うちゃん。

うん、わかった。



俺じゃ、だめだね。




「幸せにね」



ちゃんに向かって、


跡部に向かって。


俺も、『ちゃんと同じように』、微笑んで 言った。


















「あ、帰っちゃちゃいましたね、ジロー先輩・・・。」


「ああ。」


二人きりになった部室。

俺はそっと、の肩を抱く。


「・・・・あ、跡部、せんぱい?」


黙ってを抱きしめた。

の体温が伝わってきて、ふと腕を離すとの顔が真っ赤なのがわかった。


「や・・・あ、あのこれは・・・っ」


紅く染まったその小さな顔を手で覆いながら、下を向く


「・・・あ・・・・あの・・・!」


そしてそのまま、手で顔を覆ったまま 俺を見上げて言う、



「・・・先輩、あたし先輩のことが・・・・」

「好きだ。」


「・・・・!?」



覆っていた手を離し、驚く



慈朗には渡したくなかった。俺の愛しい、女。

恋敵を蹴落としてまで手に入れたこの女 一生大事にしてやるよ。



じゃなきゃ あいつに示しがつかねェ






「あたしも 大好きです・・・・・。」








覚えてろよ ジロー


俺はいつだってコイツのこと                        本気だ。







<END>



長い間お待たせして本当に申し訳ございませんでした;;
跡部VSジローで年下設定・・とのことで・・・こうなりました。(どーん)
えー、キリリク・水野菜緒さまにプレゼントフォーユーです!煮るなり焼くなり、御自由にどうぞ・・!
リクエストありがとうございましたv

れむ

水野様の素敵なHP *** † Honey †
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送